触法少年事件の難しさ

2015-08-02

少年事件の中で,触法事件という類型があります。触法事件とは,触法少年を対象とする事件です。触法少年とは,14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年をいいます(少年法3条1項2号)。

14歳未満の少年は,刑事責任能力がありません(刑法41条1項)。責任能力がないものが,刑罰法令に違反する行為を行っても「犯罪」にはなりません。簡単にいうと,14歳未満の少年は,絶対に「犯罪」をすることはできないのです。「触法」とは,「犯罪」ではないが,刑罰法規に抵触するという意味で使用されています。

触法少年は,犯罪をしたわけではないので,逮捕,勾留をすることはもちろん,捜査をすることもできません(警察は,捜査をすることはできませんが,「調査」をすることはできます。)。すなわち,14歳以上の犯罪少年と14歳未満の触法少年では,別個の規律が定められています。私自身,触法少年事件の付添人として活動をしたことがありますが,犯罪少年の事件にはない,様々な困難にぶつかりました。その点を説明する前に,簡単に触法事件の特徴を簡単に説明します。

① 触法少年については,児童福祉機関(児童相談所)による措置に委ね,児童福祉機関が相当と認めた場合に家庭裁判所に送致をすることになっています(児童福祉機関先議の原則です。)。

② 児童相談所所長は,福祉的措置が適切であると判断した場合は,当該福祉的措置をとります。福祉的措置には,児童,保護者への訓戒,誓約書の提出といった,(少年に与える影響が)比較的軽いものから,児童福祉施設への入所措置,里親委託といった重大なものまであります。

③ 児童相談所所長が,家庭裁判所の審判に付することが相当であると判断した場合には,事件を家庭裁判所に送致をします。触法事件において,事件を家庭裁判所に送致する権限を有するのは,児童相談所所長で,検察官や警察官ではありません(少年法3条2項)。なお,児童相談所所長は,故意の犯罪行為により,被害者を死亡させた罪,死刑,無期,短期2年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪の場合については,原則として家庭裁判所に送致しなければならないとされています(少年法22条の2第1項)。

④ 家庭裁判所で審判の処分は,一般の犯罪少年と異なることはありません。ただし,施設に収容される場合,当該施設は,少年院ではなく,児童自立支援施設になることが多いです。なお,少年院送致は,「おおむね12歳以上」の少年に可能ですが,保護処分決定時に14歳未満の少年の場合,「特に必要と認める場合」である場合のみ,少年院送致が可能です(少年法24条1項ただし書き)。

⑤ 警察官は,捜査をすることはできませんが,事件の真相を明らかにするため,調査をすることができます(少年法6条の2第2項)。当該調査に関して,少年及び保護者は,付添人を選任することができます。

⑥ 少年を逮捕,勾留することはできませんが,児童相談所所長が,「一時保護」をとることにより,少年の身柄を拘束することができます。

触法事件の大きな特徴は,上で書いたように,児童相談所所長が,少年の身柄を拘束するかどうか,少年に福祉的措置をとるかどうか,事件を家庭裁判所に送致をするかどうかを決定する大きな権限を持っているという点です。そのため,触法事件の付添人となった場合には,児童相談所と対峙して,時には意見を言って議論をして,時には協調しあっていく必要があります。ただし,私の経験上,触法事件は福祉の枠組みで処理をされていくため,付添人としての活動が困難になるという場面に出くわすことがよくあります。毎回,触法事件の難しさを痛感します。

★以下では,品川総合法律事務所の少年事件の処理方針等を説明しています。
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