少年事件における保護観察期間中の遵守事項違反

2015-05-04

少年事件の審判で,少年が保護観察(保護観察の一般的な説明は,「少年事件に強い弁護士」のQ&Aのコーナーや保護観察について(少年事件)をご参照ください。)に付されたとしても,遵守事項を守らない場合,少年院送致の可能性があります。

保護観察に付されると,少年に対して,保護観察期間中,守るべき遵守事項が示されます(少年に対して,内容を記載された書面を交付することによって通知されています。更生保護法54条,55条)。遵守事項には,保護観察に付された少年全員が遵守しなければならない「一般遵守事項」と少年ごとに必要に応じて定められる「特別遵守事項」があります。

一般遵守事項は,更生保護法50条で,
①再犯・再非行しないよう健全な生活態度を保持すること
②保護観察官等の呼出・訪問・面接に応じ,指導監督のため求められた労働・通学状況,収入・支出状況,家庭環境,交友関係等についての申告,資料提出を行い,保護観察官等による史剛監督を誠実に受けていること
③住居を定めて届出をし,その住居に居住すること
④転居・長期旅行をするときはあらかじめ保護観察所所長の許可を受けること
が定められています。

一方,特別遵守事項(更生法51条,52条)は,保護観察所長が,保護観察対象者ごとに,保護観察決定をした家庭裁判所の意見を聴いて定めるものとされています。家庭裁判所は,保護観察所に,特別遵守事項に関する意見を通知することになっています(少年審判規則37条3項)。

保護観察に付された少年が遵守事項に違反した場合,保護観察所所長は,保護警告を発することになり(更生保護法67条1項),警告を発した日から起算して3か月間を「特別観察期間」として,指導監督を強化することになっています。そして,この警告が発せられたにもかかわらず,さらに遵守事項に違反して,その程度が重い時,保護観察所所長は,少年院等に送致する申請を行います。

申請を受けた家庭裁判所は,申請の理由が認められること,さらに,保護観察に付する処分では少年の改善及び更生を図ることができないと認めるときには,少年を少年院等に送致する保護処分をしなければならないとされています。申請があれば当然に少年院等に送致される決定が下されるわけではなく,保護観察に付する処分では少年の改善及び更生を図ることができないと認められるときに,少年院送致の決定が下されます。

保護観察中に再非行,遵守事項違反があったとしても,軽微な事案であれば,家庭裁判所において不処分(別件保護中)決定等で終結する可能性はありますし,前記の保護観察所長の警告(更生保護法67条1項)を受けるにとどまったり,また,少年院送致申請がなされたとしても,家庭裁判所が少年院送致の決定をしないことはあります。要するに,遵守事項違反があったとしても,速やかに,少年が遵守事項を守ることができなかった理由を解明して,保護観察による改善更生を図ることができるか検討したうえで,場合によっては,家庭裁判所等に対して,働きかけ等を行っていく必要があります。

 

★以下では,品川総合法律事務所の少年事件の処理方針等を説明しています。
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