少年事件の抗告審の3つの特徴
2017-11-21
家庭裁判所の審判決定に対しては,高等裁判所に抗告をすることができます。
少年事件の抗告審の特徴としては,以下の3点があげられます。いずれも,少年側にとっては,厳しい特徴です。
① 家庭裁判所の決定が下された日の翌日から2週間以内に抗告の理由を具体的かつ詳細に記載した抗告申立書を提出しなければいけないこと(少年法32条,少年審判規則43条2項)。
→成年の刑事事件ですと,2週間以内に原判決に異議があるという簡単な書面を提出すれば足りますが,少年事件の場合には,2週間以内に具体的な抗告理由を記載した書面を提出する必要があります。
② 抗告審では書面審理が中心となり,期日がひらかれることはほぼないこと
→問い合わせをしなければ,抗告審の審判が出る日にちすらも教えてくれないことが多いです。追加の書面等を提出したり,裁判官と面談をしたりすることはあります。
③ 抗告申立をしても,少年院に送致されて少年院での処遇が開始されること(少年法34条)
→少年事件の抗告は,成年の刑事事件と異なり,執行停止の効力がないので,家庭裁判所で少年院送致の決定が下されてから数日以内に少年院に送致されてしまいます。
抗告されるのは,少年院送致の決定が下された場合が圧倒的に多いのですが,抗告された事件のうち,毎年わずかに数%程度の事件で家庭裁判所の決定が取り消されています。割合的には,抗告により覆される事案は非常に少ないことは事実です。(続)
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