戻し収容申請について

2017-11-26

少年院に収容された少年は,処遇段階が最高段階に達した場合,少年は仮退院で出院することがあります。

仮退院した少年は,保護観察となります(更生保護法47条2号)。仮退院による保護観察期間中,少年は一般遵守事項・特別遵守事項を守って,生活をしていく必要があります。少年が,遵守事項を遵守しなかった場合には,保護観察所長は,家庭裁判所に少年を少年院に戻して収容する旨の申請をすることができます(更生保護法71条)。これを「戻し収容申請」といいます。家庭裁判所は,保護観察所長の申請を受けて,戻し収容をするかどうかを判断することになります(更生保護法72条)。家庭裁判所による手続は,基本的には少年の保護処分の手続きと同じため(更生保護法72条5項),「準少年保護事件」といわれています。

戻し収容の要件は,①保護観察所長が遵守事項を遵守しなかったと認めるとき(更生保護法71条),②家庭裁判所において「相当と認めるとき」です。問題は,「相当と認めるとき」に該当するのがどのような場合かという点です(なお,23歳以上の仮退院者については,医療に関する専門的知識及び技術を踏まえて矯正教育を継続して行ううことが特に必要である場合等に限られます。)。一般論としては,遵守事項違反事実の内容に加えて,保護観察所の指導内容とそれに対する態度,少年の資質,非行歴,保護者の保護能力,少年院収容前の状況との対比等の事情を勘案して,再非行のおそれがあるかどうかが重要であるとされています。

実際,戻し収容申請事件の多くは,少年が,仮退院後に保護観察所の指導に従わずに,逸脱行動を繰り返すなど,遵守事項を遵守しないようなケースが多いようです。統計上は,戻し収容申請事件の新受件数は,1年間で十数件程度,実際に戻し収容となるのは,申請されたもののうち6割から7割程度のようです。

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