特別縁故者への分与の成功例1
1 事例の紹介
前回のコラムでは、特別縁故者への財産分与制度について詳しく説明しました。
今回からは、当事務所で扱った特別縁故者への財産分与が認められた事案をいくつかご紹介したいと思います。
今回は、被相続人の夫の連れ子の依頼者Xに対して相続財産の100%を分与された事案をご紹介します。
本件において、被相続人AはBと結婚しましたが、Bには連れ子であった依頼者Xがいました。AとBが婚姻したのは、Bが大学に入学する直前であったため、Aと依頼者Xは養子縁組をしませんでしたが、大学卒業まで一緒に親子のように暮らして、依頼者Xが社会人になった後も、Aと依頼者Xの交流は継続しました。数十年後、Bが死亡し、その後、Aも死亡しました。Aは両親が死亡しており、兄弟姉妹もおらず、子どももいませんでしたので、相続人はいない状況でした。
2 特別縁故者として主張した具体的事情
① 日常的な交流について
この事例は、依頼者Xと被相続人Aが短期間(4年程度)ながら同居していたことに加えて、その後も親子のように頻繁に交流がありました。特別縁故者の申立にあたっては、特に、依頼者XとAが離れて暮らすようになった後も、濃密な交流があったことを主張・立証しました。
重要な証拠として以下のようなものを提出しました。
・冠婚葬祭の行事や旅行等の写真。依頼者Xの結婚式でXとAがバージンロードを一緒に歩いているような写真も提出を証拠として提出しました。
・メールでやり取りをしていることが多かったので、メールを全て提出しました。
・XはちょくちょくAの家に言っていたのでSuicaの記録を提出しました。
②療養介護
この事例では依頼者Xが、被相続人Aが死亡する前の数年間、Aの療養介護を行っていた事案でした。そのため、Aの要介護認定の記録を取り寄せ、また、介護施設の介護サービスの記録から、Xがキーパーソンとしてサービス担当者と何度も綿密な打ち合わせをしていたことを立証しました。
③被相続人の意思
この事例ではAは突然体調を崩して死亡してしまったので、遺言書を作成するような時間がありませんでした。ただ、遺言書とはいえないものの、Xに財産を渡すというようなメモ書きは残していて、そのメモ書きは被相続人の意思を示す証拠として提出しました。
3 特別縁故者への財産分与の申立の結果
上記の主張・立証をした結果、相続財産管理人から「Xに対し、相続財産から相続財産管理人の報酬その他管理費用を控除した残余財産全部を分与する。」とするのが相当であるとの意見が出され、審判でも、Aは無事にZの相続財産の100%を受け取ることができました。
4 まとめ
今回ご紹介したように、特別縁故者への財産分与を成功させるためには、被相続人との関係や具体的な貢献内容を明確に証明することが重要です。特に証拠としてどのような些細なものでも見落とさず、全て提出をすることが決定的に重要です。










