アルバイト収入だけで個人再生ができるか
2017-05-18
アルバイト収入だけで,個人再生できるかについて,少し詳しく説明します。
一般的には,「現実的に就労しており弁済原資となり得る程度の収入を得ている場合には,アルバイトであったとしても,当該アルバイトが期間限定の雇用であって雇用の継続を見込めないことが明らかである場合を除き,小規模個人再生の利用適格要件を欠くとまではいえません。」とされています(『個人再生の手引』(第2版)判例タイムズ社 83頁)。
そのため,ポイントは,雇用継続の可能性がどれくらい見込めるかという点の判断になります。アルバイトにおける「雇用継続の可能性」は,これまでの勤務実績が重要な考慮要素になります。具体的には,同一のアルバイト先で相当期間勤務を継続している実績がある場合や同一のアルバイト先での勤務を継続しているわけではなく,職場はかわっていても,就労自体は継続している場合には,「雇用継続の可能性」は優に認められると思います。
また,短期間のアルバイト経験しかない場合であっても,個人再生の収入要件を満たす場合はあると思います。
例えば,当事務所では,アルバイト収入だけしかなく,当該アルバイトも3か月程度しか続いていない事案で,アルバイト収入から弁済原資を確保することができること,就職活動の結果,正社員としての就業の可能性が相当程度あること,一定額の貯金がありこれを弁済原資として考慮することが可能であることなどから,個人再生手続の利用を認めてもらった事案があります。
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