労働問題に対応するために
〜トラブルを未然に防ぐ〜
労働問題が発生すると,労働者だけでなく,使用者も大きなダメージを受けます。
労働審判や訴訟になりますと手続に一定の時間と費用が必要となりますので,できるだけ事前に労働問題が発生することを防止することが必要となります。
私自身,使用者側の相談を数多く受けてきましたが,使用者にもう少し,労働法などの法律の知識があるのであれば,トラブルの発生を防止することができたと思われる事案も少なくありません。
例えば,従業員を解雇する場合には,解雇が無効とされないためには,法律上の要件を充足する必要があります。
特に懲戒解雇には,厳格な要件が課せられています。
ただ,漫然と懲戒解雇をして,法律上の要件を満たさず,不当解雇になってしまうようなケースも少なくありません。
表現が難しいのですが,事前に御相談いただくことで,解雇が無効になりにくい状況,手続等をお伝えすることは可能だと思います。
また,そもそも,解雇ではなく,適法な退職勧奨等を行うことで,退職の合意を取り付けることができるようなケースもあります。
いずれにせよ,解雇をしてしまったら,あとは解雇の有効,無効が問題となるだけです。
もし,辞めさせたい従業員がいる場合には,早い段階で専門家に相談をすることで,選択肢が増えると思います。
また,近年では,経済情勢の変化に応じて労働問題も多様化していますし,労働法制の変化のスピードもこれまでと比べものにならないくらい早くなっています。
ただ漫然と,これまでの先例に従って労務を処理していくだけでは,労働問題の発生を抑えることができなくなっていると思われます。
労働問題の発生を防止するため,早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
〜労働問題が発生した場合〜
万が一,労働問題が発生してしまった場合,労働者の請求が法律的に根拠のあるものか否か,あるいは,グレーゾーンなのかを確認する必要があります。
請求の法的根拠の有無は,大きな方針を立てるうえで不可欠の要素です。
そのうえで,会社の実情や労働者の事情等を勘案して,現実的な対応を考える必要があります。
特に,労働審判,訴訟になると,使用者側の負担も小さくありません。
会社の正当な利益を主張しつつも,早期の解決を図るため,現実的な対応をとる必要がある場合も出てきます。