学校事故について
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学校事故に関する当事務所の考え方
学校事故とは,学校でおきてしまった児童や生徒の人身被害のことをいいます。
当事務所では,たくさんの学校事故の案件を解決に導いてきました。
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独立行政法人日本スポーツ振興センターによる「災害給付制度」の利用統計によれば,年間200万件を超える学校事故が発生をしています。特に,プールの事故,柔道の事故,組体操の事故等では,重篤な人身事故が発生することも少なくありません。
学校事故において学校側の責任を追及することは,事故による被害の救済という点から重要であることは当然ですが,それに加えて,事故の教訓を学校側に理解させ,同種事件の再発防止につながるという重要な意義があります。児童,生徒が「安全に教育を受けることができる権利」を実現するためにも,事故をうやむやにすることは許されないというのが,当事務所の基本的な考え方です。
また,当事務所では,学校事故以外の,学校に係るトラブル,いじめ,体罰,退学等の問題も扱っています。
品川総合法律事務所の強み(三つのストロングポイント)
1 法律相談1時間無料・安価な費用設定
当事務所では,多くの方に相談に来ていただくために,初回法律相談料を無料としております。無料となる法律相談の時間も1時間を設定しております。法律相談を30分とする法律事務所も少なくないかと思いますが,当事務所ではじっくりと話を聞くために,法律相談として1時間を確保しています。また,事件をお受けする場合の弁護士報酬も,他の法律事務所と比較して,安価なものにしています(後遺障害が残っている事案については,着手金を0円にすることもあります。)。
2 豊富な経験と知識からくる戦略的な弁護
当事務所では,学校事故の交渉,訴訟に関して豊富な経験を持っています。過失の認定が難しい事件,後遺障害の有無が問題となる事件,医学的な知見が必要となってくる事件,様々な事件を担当して,解決に導いてきました。また,学校事故が起こったシュチュエーションも体育の時間,休憩時間,授業中等様々なものがあり,相手方となった学校法人,地方公共団体など,いろいろなところがあります。
また,公立の学校の場合には,地方自治体(教育委員会)を相手にしていくことになりますが,自治体によって学校事故への対応に差異があります。ほとんど同じような事案であっても,子ども側の立場にたって考えてくれるところもあれば,全くなしのつぶてのようなところもあります。当事務所では,東京近辺の多くの自治体を相手とした経験がありますので,相手となる自治体の出方を予想して交渉をしていくことが可能です。
当事務所では,蓄積された経験・知識から,最善の解決を導きます。
3 結果にこだわる
当事務所は,結果にこだわります。重病になった場合,腕がいいが性格の悪い医者と,腕は悪いが性格が良い医者のどちらの手術を受けたいでしょうか。私は前者です。もちろん,結果以外の部分が大切でないというつもりはありませんが,結果にこだわることは重要なことだと理解しています。もちろん,相手がある以上,思い通りの結果にならないこともあります。ただ,あくまでも,事件のご依頼をいただく以上,大切なのは結果であると考えています。当事務所では,少しでも,有利な結果を実現するために力を尽くすことをお約束いたします。
学校,加害児童・生徒側,教職員に対する請求
学校に対する請求
① 学校自身の安全配慮義務違反
学校は公立学校,私立学校を問わず,その管理する児童・生徒の生命,身体,健康の安全に配慮する義務が課せられるとされています。
そこで,このような安全に配慮する義務に違反して,事故が起こった場合には,学校は責任を負うものとされています。
② 教職員の使用者としての責任について
教職員の故意,過失によって事故が発生した場合,学校は,教職員の使用者として損害賠償義務を負うことになります。
根拠条文は,公立学校の場合には国家賠償法1条,私立学校であれば民法715条です。
③ 工作物責任
学校の施設の設置,管理に問題があり,その問題が事故の原因となっている場合には,学校側は,その事故の損害を賠償する責任を負います。
根拠条文は,私立学校であれば民法717条,公立学校であれば国家賠償法2条です。
ただし,私立学校と公立学校では,責任の範囲が異なりますので,注意が必要です。
④ 代理監督者としての責任
責任能力がない子(おおよそ,12歳よりも幼い場合には,責任能力がないとされています。)が,他の子どもを傷付けるなどしてしまった場合,学校が親に代わって責任能力がない子どもを監督する義務があるとして,監督者の責任を追及することができる余地があります。
加害児童生徒側に対する請求
加害児童生徒に責任能力がある場合,加害児童生徒に対し,損害賠償請求をすることができます。
一方,加害児童生徒に責任能力がなければ,加害児童生徒の監督義務である親に監督責任を追及することができます。
教職員に対する請求
公立学校における学校事故では教職員に対して,損害賠償等を請求することは認められていません。
一方,私立学校の場合には,教職員個人の責任を追及することも可能です。
日本スポーツ振興センターの災害給付制度の利用
日本スポーツ振興センターの災害給付制度について
日本スポーツ振興センターの災害給付制度は,学校管理下における災害に対し,医療費,障害見舞金,死亡見舞金等の給付を行う制度で,学校事故に対応するうえで重要な制度として定着しています。
学校事故に巻き込まれた場合には,まずは,この災害給付制度の利用を検討すべきです。
災害給付制度を利用するための要件は,「学校管理下」における災害であることです。
学校管理下とは,
① 児童または生徒が,学校が編成した教育課程に基づく授業を受けているとき
② 児童または生徒が,学校の教育課程に基づいて行われる課外指導を受けているとき
③ 児童または生徒が,休憩時間中に学校にあるとき,その他校長の指示または承認に基づいて学校にいるとき
④ 児童または生徒が,通常の経路及び方法により通学するとき
⑤ 学校外で授業がおこなわれるとき,その場所,集合・解散場所と住居・寄宿舎とのあいだの合理的な経路・方法による往復中
のことをいうものとされています。
また,災害給付制度では,学校側の過失等が要件とされていません。
学校側に責任が発生しないような場合,例えば,突然死のような場合であっても給付の対象となります。
手続について
災害給付制度をする場合は,災害の報告書を学校に作成してもらい,また,医療費等の状況については治療を受けた病院で作成してもらう必要があります。
給付の請求は,学校の管理者が行うことになっています。
給付の請求をする代わりに,学校に対する賠償の放棄を要求されるようなケースもあると聞きますが,そのような要求に応じる必要がないことはいうまでもありません。
日本スポーツ振興センターの災害給付制度の使い方
日本スポーツ振興センターの災害給付制度には,学校側に責任がないような事故の場合でも給付を受けることができる,また,簡易迅速な手続で給付を受けることができるというメリットがあります。
しかし,日本スポーツ振興センターの災害給付制度は完全な制度ではありません。
一番の問題は,給付される金額が低額なことです。
医療費については,自己負担金額+α(自己負担額の一割程度増しです。)の給付を受けることができ,それに加えて,場合によっては,障害見舞金や死亡見舞金の給付を受けることができます。
もっとも,見舞金の額は,加害者等に対して訴訟をした場合に認められる後遺障害慰謝料等に比べて,相当低額なものに制限されます。そもそも,傷害慰謝料,後遺障害逸失利益については対応する給付がありません。
支給の名目が,「損害賠償」ではなく「見舞金」なので,そもそも,被害者の被った全損害を填補することを目的とした制度ではないのです。
このように,日本スポーツ振興センターの災害給付だけでは,十分な被害の救済にはならないという問題点があります。
災害給付として支給される金額以上の金額を請求する場合には,別途,加害者,加害者の監督者,学校の設置管理者,教師等に損害賠償請求をする必要があります。
その他の学校に関する問題
① いじめ
「いじめ」とは,同一集団内の相互作用過程において優位に立つ一方が,意識的に,あるいは集合的に他方に対して,精神的・身体的苦痛を与えるこというとされています。
「いじめ」の問題に対する学校側の認識・対応が不十分であることは少なくありません。被害者側が勇気をもって被害を受けていることを教師に伝えても,教師が「いじめ」でないといって取り合ってもらえなかったり,教師が「いじめ」の現場にいたものの,「いじめ」としての深刻さを認識できず,むしろ,いじめを助長する言動をとっていたような事例もあります。
「いじめ」が被害者にどれほど大きな精神的・肉体的苦痛をもたらしているのか認識することができていないのです。
「いじめ」の問題を解決することに必要なのは,何よりもまず,学校側に「いじめ」を人権侵害と明確に認識させることが必要なのです。
★親が「いじめ」に関し弁護士に依頼できる内容
・法律相談
学校に関するトラブルの相談事例の中で「いじめ」の相談はかなりの比率を占めています。法律相談のみで解決できることも少なくありません。
・交渉
弁護士を代理人として,「いじめ」の加害者,学校側と交渉をしていくことがことがあります。このような交渉をすることにより,弁護士が「いじめ」解決に向けてコーディネータのような役割を果たすことが理想です。交渉という手段は,訴訟等の手段と比較して,第三者が事実を認定するわけではありませんので,真相の解明という観点からは限界がありますが,学校側の考え方次第では,望ましい結果が実現できることもあります。
・人権救済申立
「いじめ」の問題の解決のために弁護士会の人権救済の申立をするという方法があります。
人権救済申し立てのメリットは以下のとおりです。
ア 費用がかからず,口頭でも申立ができること
イ 人権侵害行為に対して警告,勧告,要望などの処置をとることができること
ウ 人権擁護委員の調査が行われる過程で,環境調整を図りうること
一方で,デメリットは以下のとおりです。
ア 調査に時間がかかるため,現在進行形でおこっている「いじめ」を防止するには一定の限界があること
イ 強制的な調査権限がないこと
ウ 勧告などが出された場合でも強制力がないこと
・民事調停
簡易裁判所に対して,民事調停を行うという方法もあります。民事調停は,調停委員が,被害者と加害者あるいは学校側が双方の意見を聞き,適切な解決策を示すものです。第三者の調停委員が調整をすることになりますので,学校側の対応次第では,一定の役割が期待できる制度です。
・民事訴訟
「いじめ」に関する訴訟は,損害賠償請求訴訟,つまり,金銭の支払いを求める訴訟として提起するのが一般的です。加害者や学校が被告となります。民事訴訟を提起するメリットは,真実を解明することができる可能性が他の手段より高いことです。ただし,時間的に解決が長引く可能性が少なくないですし,立証活動に多大な負担がかかり,また,解決方法としても基本的には損害賠償を求めるしかなく,他の手段と比べてデメリットもあります。
② 体罰
体罰は,学校教育法で禁止されています。学校教育法11条では,「校長及び教員は,教育上必要があると認めるときは,文部科学大臣の定めるところにより,学生,生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし,体罰を加えることができない。」と定められています。つまり,体罰は,例外なく絶対的に禁止されています。勘違いされることがよくありますが,教育上必要があっても,また,相当な程度であっても,体罰をすることは許されていません。現在の法律を前提とする限り,教師による体罰=違法であり,例外はありません。体罰については,学校の教師,校長ら教職員に対する説明・改善要求,事故報告書の開示請求,学校設置者としての市区町村に対する責任追及と改善要求,民事・刑事などの責任追及,弁護士会に対する人権救済申立等の手段があります。体罰に関してはこちらの投稿もご覧ください。
③ 退学処分
退学処分は,児童・生徒の地位を消滅させ,教育を受ける権利をはく奪する学校の措置であって,公立の義務教育学校では行うことができません。退学処分は,児童・生徒から強制的に学習の場を奪うものであって,厳格な要件のもので行われるものです。