養育費について
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養育費とは
子どもを育てていくのに必要な費用を養育費といいます。
離婚をすると親の一方が子を引き取り育てていくことになりますが,それに要する費用,すなわち,養育費をどちらがどれだけ負担するか問題となります。
離婚しても親の子に対する扶養義務は何ら影響を受けませんので,子と暮らしていない親も,子が親と同程度の生活ができるように費用を負担する義務を負うのです。
以下のような御相談は当事務所まで御連絡ください。
☑ 離婚する際に,養育費を決めなかった。養育費を支払ってほしい。
☑ 本妻から養育費を請求されたが,高額すぎて支払えない。
☑ 離婚する際に養育費を決めた。ただ,収入が減ったので,もう支払えない。養育費を減額したい。
☑ 離婚する際に長男の養育費を決めたが,その後長男が私立高校に進学した。養育費を増額したい。
☑ 養育費を決めたのに支払ってくれない。どうすればいいのか。
養育費の決め方
養育費は離婚をする際に決めることが多いと思います。もっとも,離婚のときに養育費を決めていない場合であっても,いつでも養育費を請求することはできます。一般論として,過去の養育費を請求することは難しいとされています。要するに,請求日以前の養育費をもらうことは難しいのです。そのため,養育費をもらっていない方は,速やかに請求をされることを強くおすすめします。
養育費の金額を決めるためには,まず,当事者間で話し合いをすることになります。
当事者間の話し合いで金額がまとまらない場合には,調停,審判という裁判所を利用した手続により養育費が決まります。
〔養育費請求の流れ〕
養育費の金額
養育費を決める家事調停,家事審判では,養育費算定表といわれるものを利用して,養育費を決めていきます。
この養育費算定表とは,お互いの収入,子の数・年齢から養育費の金額を算定するものです。
したがって,当事者間で話し合いを行うときも,この養育費算定表で算定される金額が目安となることが多いです。
ただし,養育費算定表の読み方に誤解がある方もおりますし,また,そもそも,養育費算定表で考慮されておらず,別途考慮すべきとされる事情もありますので,注意が必要です。
例えば,通常必要な医療費,学費,住宅ローン,家賃等は算定表の示す幅の中で既に考慮されておりますので,算定表記載の金額にこれらのものを加算することができないとされています。
一方で,例えば,私立学校の学費については,算定表の中で考慮されておりませんので,公立学校との差額分を加算する余地があります。
相手方の収入が分からない場合
養育費を決めるうえで,当事者の収入が重要な要素となります。
しかし,相手方の収入が分からない場合があります。
このような場合であっても,調停になると,調停委員から,双方に,前年の源泉徴収票等,収入が明確になる資料を提出するよう指示があり,当事者はそれに従い資料を提出するのが一般的です。
それでも,収入についての資料を出さず,収入額が明確にならない場合には,賃金センサス(厚生労働者が,職種別,年齢別の賃金に関する統計をまとめたものです。)の平均賃金を基準として算定することがあります。
養育費が支払われない場合
養育費を支払う合意,調停,審判があるにもかかわらず,相手方が養育費を支払わない場合,強制執行の手続きをとることができます。
養育費の不払いを理由とする差押については,弁済の時期が到来していない将来分についても差押が可能となります。
また,一般的に相手方の給与債権に差押をする場合には,給与額の4分の1に限定されますが,養育費が支払われずに給与債権を差押える場合には,給与額の2分の1までを差押えることができます。
養育費が支払われないことによって,一番被害を受けるのは子です。
子の生活を守るためにも,強制執行の手続きを積極的に利用することが望まれるところです。
★ 養育費については以下のコラムをご参照ください。
・養育費等の増額,減額の請求について(ほかでは聞けない養育費の話①)
・養育費や婚姻費用の増額・減額の始期について(ほかでは聞けない養育費の話し②)