保釈の流れ
このページの目次
保釈とは
保釈とは,保釈金を納付することなどを条件として,被告人を釈放する制度です。
保釈の請求は起訴された後にすることができます。
保釈には,
①権利保釈
②裁量保釈
③職権保釈
があります。
権利保釈とは,一定例外事由に該当しないときに当然の権利として認められる保釈のことをいいます。
例外事由とは,一定の重大事件に該当すること,一定の前科に課せられたことがあること,常習的に一定の犯罪をしたこと,罪証隠滅のおそれがあること,被害者その他事件の関係者やその親族の身体や財産に危害を加えたり,これらの者を畏怖させるような行為をするおそれがあること,被告人の氏名又は住所が分からないことです。
裁量保釈は,権利保釈に該当しない場合でも,いろいろな事情を考慮して,裁判所が自らの判断で認める保釈をいいます。
職権保釈とは,勾留による身体拘束が不当に長くなった場合に,裁判所が自らの判断で認める保釈をいいます。
保釈が認められたからといって,起訴が取り消されるわけではなく,公判には必ず出頭する必要があります。
ただ,それでも,保釈の許可をもらって釈放されることは被告人にとって重要なことです。
長期間,留置所,拘置所等で勾留され続けると,心身ともに疲弊していきます。
裁判に出頭するころには,心身ともに疲れ切ってしまっていて,気力が湧かないというようなこともあります。
一時的にでも外に出ることができれば,家族等からの励ましをもらって,心を休める貴重な時間ができるのです。
また,例えば薬物依存症の場合には,保釈期間中に医療機関に通ったりして,更生のための第一歩を踏み出すとともに,裁判で使える有利な事実をつくっていくことができます。
釈放までの流れ
保釈請求書の作成
保釈が認められるのは起訴された後です。
保釈をするためには,権利保釈事由,裁量保釈事由,職権保釈事由に該当することを主張する保釈請求書を作成して裁判所に提出することになります。
保釈請求書は弁護人が作成することになりますが,証拠を隠滅する可能性がないことなどを丁寧に主張していくことになりますので,保釈請求を予定している場合には,起訴前から接見の際に事情を詳しく聞き取る必要があります。
制限住所を決め,身元保証人を探す
保釈が認められて釈放された場合,一定の住所で生活することが条件となります。
保釈を請求する際に,釈放後に生活する制限住所を指定する必要があります。
また,保釈の請求をする際には,被告人の親族から,被告人を指導,監督することを約束する旨の身元保証書を提出することが多いので,身元保証人になってくれるような人を探す必要があります。
保釈保証金の工面
保釈が認められると保釈保証金を納付する必要があります。
保釈保証金とは,身柄を釈放する代わりに,公判への出頭等を確保するため,預けさせる一種の担保金です。
そこで,証拠の隠滅をしたり,公判への出頭を拒絶したりして,保釈が取り消されない限り,裁判後に返還されることになります。
保釈保証金は,保釈保証金は,保釈保証金は,事案によってまちまちですが,一般的には100万円より低い金額になる事案は少ないと思われます。
保釈保証金については,立替事業を行っている団体があります。
そこで,資力の面から,保釈保証金を納付することが困難な場合には,このような団体を利用することも考えられます。
ただし,立替てもらうためには,それなりの手数料を支払う必要がありますので注意が必要です。
検察官との交渉
保釈請求をすると,裁判所は,検察官に請求に対する意見を求めます。
検察官が,すんなり,保釈を認めるような意見を作成することは少ないのですが,保釈請求後,検察官に連絡して,少しでも,有利な意見を言ってもらうように交渉することがあります。
検察官が作成した意見書は謄写が可能ですので,保釈が否定された場合等に備えて,謄写しておくこともあります。
裁判官面接
保釈請求をすると,担当裁判官と面接をすることがあります。
保釈請求書に記載しきれなかった事情を伝えたり,また,保釈保証金の金額等について交渉をしたりします。
保釈許可決定
保釈許可決定が出ると,保釈保証金を納付します。
保釈保証金の納付が確認されると,釈放になります。