事件別の特徴
薬物
薬物再犯者と執行猶予
薬物犯罪には,麻薬及び向精神薬取締法違反,覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反などの事件があります。
薬物犯罪は,再犯率が高いという特徴があります。
再犯者方から,もう一度社会の中でやり直したい,執行猶予判決をもらってまっとうな生活をしたいというお話を聞く機会があります。
初犯の場合には,執行猶予がついたとしても,薬物前科のある場合には,執行猶予を獲得することは難しくなります。もっとも,薬物再犯者の場合であっても執行猶予となる可能性はあります。一番重要なのは,前の刑の執行が終了してからどのくらいの期間が経過したかという点です。もちろん,長ければ長いほど,執行猶予の可能性は高くなります。ただし,この期間だけが重要なのではありません。プラスアルファが必要です。
前刑終了後から一定の期間が経過していること+α=執行猶予
ということになるのです。プラスアルファは,簡単に言えば,再犯者が二度と薬物に手を出さないことを示す事情ということなります。例えば,生活状況,家族の監督状況,更生のための意欲,具体的方策等です。
当事務所では,薬物再犯者の事件も積極的に受任しています。
執行猶予の可能性を高めることができる弁護活動の工夫とは,正に,本人を更生させるための工夫に外なりません。
当事務所では,薬物再犯者の弁護を通じて,本人の更生を実現することを目指します。当事務所では,薬物再犯者が執行猶予判決を受けるために必要なプラスアルファを,豊富なノウハウと情熱をもって考えて,依頼者の方と一緒に考えていきます。
薬物犯罪の特徴①〜薬物依存の克服の必要性〜
上記のとおり,薬物犯罪の特徴は,再犯率が高いということです。
覚せい剤を使用していると,薬物依存になります。
薬物依存とは,薬物の効果が切れると,薬物が欲しいという強い欲求(渇望)がわいてきて,その渇望をコントロールできずに薬物をつかってしまうという状態のことをいい,一種の精神疾患です。
薬物依存を治す特効薬はありません。
結局,薬物依存を克服するためには,薬物を使用する理由に結びつく問題(友人関係,恋人との関係,経済的な問題,仕事の問題,性格的な問題)等を整理,清算して,薬物を使用しない生活を続けていくことしかないのです。
このようなことをすることは,薬物依存者にとって,想像以上に困難なことで,本人一人の力で行うことはほとんど不可能です。
そこで,薬物依存症の克服のためには,専門の医療機関やダルク等の自助施設を利用することを検討する必要があります。
専門の医療機関では,認知行動療法などの心理療法を利用して,患者の思考や感情を変化させるような治療を行っています。
このような治療を通じて,患者は,自分が抱える問題の整理,清算を行うことができます。
また,自助施設では,同じ問題を抱えた仲間とともに,問題の整理,清算を行うことができます。
薬物を所持,使用していて逮捕されることは,薬物依存を克服する機会が与えられたということになります。
その機会を,生かすことができるかによって,その人の人生は大きく変わります。
薬物依存の怖さを十分に噛みしめ,自分が抱える問題の整理,清算に本気で取り組む覚悟が持つことが重要です。
当事務所は,本人の更生を重視した弁護活動を目指しており,その意味でも,再犯率が高い薬物依存者の弁護活動は当事務所も重視しています。
薬物犯罪の特徴②〜違法な捜査の問題〜
薬物犯罪では,規制薬物やそれを使用するための器具等を捜索,押収する際に,捜査機関が違法な行為をする場合があります。
例えば,令状がないのにもかかわらず,バッグの中を検査するなどした場合には,捜査が違法とされるような場合があります。
違法な捜査が発生しやすいのが薬物犯罪の特徴の一つです。
捜査の適法性が疑われるような事情が判明した場合には,その捜査により取得した証拠が裁判で使えなくなる可能性があります。
当事務所では,一連の捜査の過程で違法な捜査がなかったかをチェックするとともに,適法性に疑念がある捜査がなされた場合には,厳重に抗議をするとともに,違法な捜査によって収集された証拠の排除を積極的に主張していきます。
クレプトマニアについて
クレプトマニア(窃盗癖)とは,経済的利益を得るというような理解可能な理由がなく,窃盗自体の衝動により,窃盗行為を反復的に繰り返してしまう症状をいい,一種の精神疾患です。
クレプトマニアは精神疾患すなわち,病気ですので治療が必要です。
本人がいくら反省をして,立ち直りを決意したとしても,疾患を治療しないかぎり,窃盗行為を止めることは困難です。
まして,刑務所において,矯正教育を受け,強制労働を行ったからといって,およそ効果を期待できるものではありません。
これまで,多くのクレプトマニアの窃盗犯が,適切な治療を受ける機会が与えられず,窃盗を繰り返し刑務所と外の世界を行ったり来たりしてきました。
クレプトマニアであれば,専門の医療機関で認知行動療法等により治療を受けるべきです。
当事務所では,クレプトマニアの窃盗の場合には,治療を行う専門機関への橋渡しをするとともに,早期に治療を受けるような状態にすること(つまり,治療の機会を与える必要があることを主張して,早期釈放,執行猶予付の判決を求めること)に力を入れています。
痴漢
痴漢事件とは
痴漢事件とは,電車内等の密閉された空間で,男性が女性の体を触ったりする犯罪です。
痴漢行為には,強制わいせつ罪(刑法176条)に該当する場合と条例違反に該当する場合があります。
どちらに該当するかは,行為態様によって異なります。
非常に簡単に言いますと,着衣の中に手を入れるような態様のものが強制わいせつ罪に,着衣の上からなでまわすような場合が,条例違反に該当するとされています。
痴漢事件の特徴〜えん罪が生まれやすい〜
痴漢事件の特徴としては,えん罪が生まれやすいということが挙げられます。
痴漢事件では,物的証拠に乏しく,被害者の証言が犯人であることを示す唯一の証拠になることもあります。
そして,満員電車の中での痴漢等の場合,被害者は思い違いをしやすいような状況にあります。
痴漢事件は,構造的に冤罪が生まれやすいということがいえると思います。
痴漢事件で冤罪を争う場合には早期に弁護士と相談をする必要性は高いです。
特に,痴漢を自白する調書を作ってしまうと,無罪を争うハードルは非常に高くなります。
そうならないためにも,早期に弁護士と協議をして,取調を受ける準備をする必要があります。
強制わいせつ等
強制わいせつ事件の特徴としては,被害者との間で示談をしたかどうかが重視されること,再犯率が比較的高く再犯を防止するために必要なことを考える必要があることなどが挙げられます。近年の裁判所の傾向からすると,被害者との間で示談をすることができず,また,再犯の可能性が相当程度残っているという場合には,初犯でも執行猶予がつかず,実刑判決となるようなケースも珍しくはありません。
執行猶予判決を得て社会内で生活をしていくためには,早期に弁護士に依頼して,被害者と示談の交渉をするとともに,再犯防止のための方策を考えていくことが必要です。
傷害罪
傷害罪とは,人の生理的機能を害することをいうものとされています。
暴行を加えたが,相手がけがをしなかったら暴行罪,けがをしたら傷害罪となります。
傷害罪を犯してしまったら,被害者と示談をすることが重要です。
被害者と示談をすることができれば早期に身柄を釈放されたり,また,不起訴になる可能性が高くなったりします。